なぜ「G7」の時に「Dbのトライアド」を弾くとコンテンポラリーなサウンドになるのか?」ジャズギター理論 | Jazz Guitar Tribe

なぜ「G7」の時に「Dbのトライアド」を弾くとコンテンポラリーなサウンドになるのか?」ジャズギター理論

ジャズ理論

今回は、G7の時に「Db」のトライアドを弾くと、コンテンポラリーなサウンドになる、という動画です。

オーソドックスなスタイルに、少しコンテポラリーな要素を加えたいと思っている人は是非参考にしてみてください。

なぜ「G7」の時に「Dbのトライアド」を弾くとコンテンポラリーなサウンドになるのか?」

 

なぜ「G7」の時に「Db」のトライアドを弾くとコンテンポラリーなサウンドになるのか?

今回は、「なぜG7の時にDbのトライアドを弾くとコンテンポラリーなサウンドになるのか?」について解説していきます。

 

まずは、Dm7-G7-Cmaj7のG7の時にDbのトライアドを使ったフレージング例を紹介します。

少しコンテンポラリーな感じのサウンドですね。

 

では解説に移りましょう。

まず、Dbトライアドの構成音を確認していきます。

 

では、これらの音が「G7」に対してどのように機能するのかを見ていきます。

  • Db=G7の#11th
  • F=G7の7th
  • Ab=G7のb9th

 

では、このDbのトライアドは、どこから来ているのでしょうか?

この「Db」は、オルタードスケールから生まれたトライアドです。

 

Gオルタードに3つの構成音が含まれています。

 

メロディックマイナーに置き換えるなら、AbのメロディックマイナースケールのⅣ度のダイアトニックになります。

 

Gのコンディミ(コンビネーションオブディミニッシュスケール)にもDbのトライアドが含まれますが、ここではオルタード(メロディックマイナー)から来たトライアドとして進めていきます。

 

では、コードで弾く時のフォームを確認してみましょう。実際に弾いてみると、とても不協和音に感じると思います。

  • フォーム①

  • フォーム②

 

  • フォーム③

どれもかなり不協和音に聴こえますね。僕の師匠であるTim Millerは、これらのボイシングを多用していました。

 

では、アドリブの時はどうでしょうか?冒頭でも紹介したフレーズをもう一度弾いてみましょう。

一瞬ですが、かなりアウトしているように聴こえませんか?

では、なぜこの「Db」というトライアドが、こんなにアウト感のあるコンテンポラリーなサウンドになるのでしょうか?

ここで理解しなくてはいけないことは、テンションノートのグルーピングです。

テンションは大きく2つに分けることができます。

 

・解決感を持たせることができるテンション=b9,#9,b13

・解決感のない時に使われるテンション=9,#11,13

 

解決感を持たせることができるテンションは、主にツーファイブやセカンダリードミナント(Ⅵ7やⅢ7の時)に使われます。

 

解決感がない時というのは、

  • bⅦ7の時
  • ブルースにおけるⅠ7,Ⅳ7の時

などです。

 

また、

  • オルタード系
  • ナチュラル系

に分けることもできます。

 

この時、オルタード系は、b9,#9,b13の3つ。そして、ナチュラル系は、9,#11,13の3つ。

ポイントは、本来オルタードテンションであるはずの#11thがナチュラル系に含まれることです。

 

理論的、教科書的には、#11thはオルタードテンションに含まれますが、サウンドキャラクターとしては、ナチュラル系に分類されると思って下さい。

 

ちなみに、7thコードの時に、11thはアボイドノートになるため、ナチュラル系のテンションにも通常の11thは含まない方がよいので注意して下さいね。

 

はい、ではDbのトライアドに戻りましょう。

Dbにはどんなテンションが含まれていたでしょうか?

 

まずは、Abの音。

これはb9thの音で、解決感の強いサウンドキャラクターを持っています。

 

続いて、Dbの音。

これは、#11thの音で、解決感を持たない音、解決感を持たせない場合に使うテンションです。

 

Fの音は、言うまでもなくG7の7thの音、つまりコードトーンですね。

 

ポイントとなるのは、

b9thであるAbの音と、#11thであるDbの音が共存していること。

そして、本来解決感が強いはずのツーファイブのコード進行の上で、解決感を持たない#11thを使っていることです。

 

 

  • 異なった特徴を持ったオルタードテンションが共存していること
  • 解決感を表現しないテンションを使うこと

これによって、不協和音のような、
浮遊間のあるサウンドを作り出しているのです。

 

話が少しズレますが、オルタードスケールについてここで簡単に言及しておきます。

オルタードスケールというのは、コードトーンであるルート、3rd、7thの3つの音に、b9,#9,#11,b13の、4つのオルタードテンションが加わったスケールです。

コードを表現するのに必要なコードトーンに、全てのオルタードテンションをぶち込んだだけのスケールです。

なので、実はサウンドキャラクターがすごく曖昧なスケールなんですね。この曖昧なサウンドは、キャラクターの異なるテンションが共存していることから生まれます。

Dbのトライアドは、その曖昧さ、良い意味での浮遊感を表現するのに、一番適したトライアドだと言えます。

 

ちなみに、ハーモニックマイナー(HP5)の方が、100倍解決感のあるサウンドを出すことが出来ますので、まだHP5を練習していない人は、オルタードよりもHP5を先にマスターしましょう。

 

ということで、今回は、あえて曖昧なサウンドを出すために、b9と#11が含まれるDbというトライアドをピックアップしてみました。

コンテンポラリーなサウンドを出したい人におすすめです。
是非試してみてくださいね。

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