アドリブ練習の効果を最大化する6つの大切な考え方
今回は、アドリブ練習の効果を最大化する6つの考え方を紹介します。
①繰り返しは最強
②1点集中こそ1番の近道
③拡張性を意識する
④技術を磨くことを怠らない
⑤空からフレーズは降ってこない
⑥マッスルメモリーのその先へ
どれも僕自身が経験則から感じている大切な考え方です。少しでも参考になれば幸いです。
アドリブ練習の効果を最大化する6つの考え方
アドリブの練習における大切な「考え方」を紹介します。
僕自身のこれまでの経験則から、速く上達するために必要だと思う考え方です。
ただし、これが最適解というわけではありません。あくまでも僕自身の考え方であるということはご承知おきください。
繰り返しは最強
個人的な考えですが、質よりも量が大事という考え方です。
どれだけ質を高めることが出来たとしても、結局は量が必要だと感じています。
質にばかり拘りすぎて、量が少ないのが一番良くないと思います。かと言って、「それやってても上手くならんで〜」という練習をずっとやっているのも良くないですね。
大切なのはバランスです。
質の良い練習を、できる限り多くの量こなす。これに限ります。
個人的には、ある程度の質があれば、後は量が大切です。とにかく量です。
結局は、自分の指がどれだけ楽器に馴染むかどうかで、上達の度合いは変わってきます。それは、質に限らずほとんどが量によって決まると思っています。
どんなに良い先生に習っても、自分が練習しなければ上手くならないのと同じで、結局、質や中身を考える前に、まずは練習量を確保しましょう。
1点集中こそ1番の近道
“練習する事柄は1つに絞る”というのが僕の持論です。
広く浅くは進歩が遅い!これは断言できます。毎日のルーティーンや基礎練は必要ですが、何か新しいことを習得したい時は、
1つの事柄を1ヶ月2ヶ月、それに集中してやり込むこと
これが最も大事な考え方だと思います。
僕の場合は、
- 新しいスケールを覚える時
- ある特定のキーを練習したい時
- 新しいスタンダードを覚える時
- 初見練習
- ポリリズム
- 変拍子
- ハイブリッドピッキングに移行した時
- ピックを辞めた時
これらの練習の時は、一定期間それだけに絞って練習します。
期間はそれぞれ違いますが、どれも最低1ヶ月はそれに絞って練習することがほとんどです。
楽器に限らず何でもそうだと思いますが、1つのことを数ヶ月集中して行えば、それは一生モノになります。簡単には忘れません。
アドリブにおいては、1度習得したモノは、ほぼこの先ずっと使い続けるので、頭が忘れることも、身体が忘れることもありません。
大変なのは、自分のスタイルを変えようとするときですね。
僕自身は、バークリーの時にTim MIllerに影響を受けて、ハイブリッドピッキングでやっていくと決心しました。この時、スケールの弾き方、アルペジオの弾き方、全てが変わりました。
この時は、ハイブリッドピッキングの奏法やパターンを体に覚え込ませるのに、ザックリ3ヶ月くらいはかかったと思います。手グセを1からやり直すのはかなり骨が折れる作業でしたね。
で、最近はそのハイブリッドピッキングを捨てて、完全な指弾きに移行しようと絶賛練習中です(笑)。
拡張性を意識する
練習する事柄においては、常に拡張性を意識することが大切です。
使い道が1つしかないフレーズを一生懸命覚えるよりも、応用できるコードトーンや、シーケンスパターンを練習する方が何倍も合理的です。
1つのフレーズは、基本的には使い道が1つですが、拡張性を意識したスケールシーケンスやモチーフを練習することで、1つのスケールが10や20の力を持つということです。
拡張性を意識した練習には別のメリットもあります。
「フレーズに頼ったアドリブから抜け出せる」という点です。
パターンやシーケンスがそのままアドリブのフレーズになるし、あからさまに「フレーズを弾いてます感」も出ないです。
シーケンスのアイデアを使ってスケールを自由に弾くことができれば、それだけで十分立派なアドリブです。フレーズを当てはめるだけのアドリブよりも数倍良い演奏になるでしょう。
シーケンスは、短く区切ればそれがモチーフになるので、モチーフの展開を利用したアドリブの基盤にもなります。シーケンスの練習は非常におすすめです。
コルトレーンが練習していたことで有名な教本も、鬼のようなシーケンス辞典ですからね。
技術を磨くことを怠らない
個人的には声を大にして言いたい考え方です。
多くのジャズギタリストは、ギターを弾く技術の重要性を軽視し過ぎだと感じます。
特にアドリブができなくて悩んでいる生徒さんの多くは、単純に技術不足が原因であることがよくあります。
もしアドリブできるだけの知識があって、ポールギルバートくらいの技術があったら最高ですよね。
では、なぜ、技術が軽視されがちなのか?という問題ですが、
どうしても理論に意識が傾き過ぎるという部分が大きいと思います。
アドリブができない理由を、
- 理論が難しいから
- スケールを覚えていないから
- 曲のコード進行を覚えられないから
と考えている人が多いのではないでしょうか。
その前に、
まず自分が弾きたい音を、ミスせず弾く能力を身に付けましょう。
これだけでスケールや理論が占める割合がそこまで大きくなかったことに、気付くことができると思います。
もちろん理論やアドリブのアイデアは大切ですが、それを体現する技術がなければ、宝の持ち腐れです。
まずは自分の出したい音を出せるだけの技術を身に付けましょう。
空からフレーズは降って来ない
基本的には、奇跡のフレーズが空から舞い降りてくることはありません(泣)。
いくらアドリブとは言え、自分が経験した(練習した)ことしか出てこないのは当然です。
たまに奇跡が起きることもあるかもしれませんが、アドリブは自分が経験したもの、練習したもので出来ています。よく考えたら当たり前のことですね。
数学の問題を解いてて、勉強もしてないのに、知らない公式を閃くなんてことは、まあないですよね。自分に期待しすぎないようにしましょう(笑)。
ただし、あえて自分が弾いた事のない音使いを試してみるのはアリだと思います。弾いてみて初めて、自分が驚くような音使いに出会うこともあるからです。
もちろんこれは適当に弾くという意味ではなく、きちんと理論やアイデアに則って行うべきであって、そうでないと、ただの間違いになってしまうので気をつけましょう。
要するに、日頃から、抽斗にたくさんのスケールやモチーフを蓄えておくことが大切です。
それぞれのスケールやモチーフに拡張性を持たせておくことで、1つのスケールに10や20の力を持たせることが出来ます。奇跡のフレーズには期待せず、日頃からカッコ良いアイデアや音使いを練習し、センスを磨いていきましょう。
マッスルメモリーのその先へ
アドリブは、ほぼマッスルメモリーで弾いています。
頭で考えることと指の動きが同時進行だという感じです。アドリブの時は、先に頭で考えたことを後から指で表現しているわけではないんですね。
頭でイメージすることと、指が動くのは同時。まずはこの状態になることが目標です。
アドリブを良くするためには、さらにその先へ行く必要があります。
大事なのは、「集中力」です。
・コード進行を追いかけるとか、
・リズムがよれないようにとか、
そんな次元ではなく、とにかく全てを生きた音にするべく、自分の出す音に全神経を集中させることが大事。
スポーツでは、「ゾーンに入る」という言い方をしたりしますが、自分のエネルギーがそのまま音になって出てくる感じです。本気で集中して弾いたら、1曲弾いた後の達成感や疲れ方は半端ないはずです。
アドリブは考えることが多過ぎるというのも問題の1つです。
このせいで、逆に集中力を欠いて、最後までフワフワした演奏になりがちだからです。1度、目を閉じて、耳だけで音を感じて、アドリブしてみてください。
できればコード進行は完全にメモリーしている曲でやってみましょう。
目を閉じてるのでミストーンはOKです。
とにかく耳からの情報だけで音楽を演奏することで、一気に集中力は増します。目からの情報を遮断することで、本当の意味で音を聴こうとするからですね。
この状態で弾いたアドリブは、ツルッと適当に弾いたモノとはまるで違います。
さらに集中力を発揮するには、
「弾くだけではなく声に出してみること」
も大切です。
スキャットみたいなイメージですね。
声に出す練習のポイントは、
「音程は気にしない!音痴でOK!」ということ。
なぜならアドリブには呼吸が必要だと感じることが一番の目的だからです。
弾いている時には息を吐いて、息を吸っている時には弾かない。管楽器では当たり前にやっていることですが、弦楽器や打楽器の奏者は、この当たり前を忘れがちです。
声に出すことで、きちんと呼吸することができます。
これによって、
・自然と演奏にスペースが生まれる
・周りの音に、より気を配れるようになる
・曲やコード進行に対して冷静になれる
ずっと弾きっぱなしというのは、余裕がない状態です。
曲に弾かされている、という感じになってしまっているんですね。呼吸をすることで、余裕を持てるようになりましょう。
また、声に出してアドリブをすることで、
コード進行を追いかける感じのアドリブから、モチーフやメロディーを意識したアドリブになります。手グセやフレーズよりも、半ば強制的に歌えるメロディーを弾くことになるからですね。
頭ではメロディーやモチーフのアイデアを使いたい!と思っていても、実際に声に出さないと難しいのが現実です。
アドリブを声に出すことは、あらゆる面でアドリブを進歩させてくれます。
演奏中に、アイデアが出てきやすくなるし、少なくとも、これまでのアドリブとは全く違った感覚を掴めるはずです。
ぜひ声に出してアドリブをしてみましょう。
まとめ
今回は、「アドリブ練習の効果を最大化する6つの考え方」について紹介しました。
①繰り返しは最強
②1点集中こそ1番の近道
③拡張性を意識する
④技術を磨くことを怠らない
⑤空からフレーズは降ってこない
⑥マッスルメモリーのその先へ
特に、
・1つに絞ること(数ヶ月スパンで新しいモノを習得する)
・技術を高めることはアドリブの進歩に比例する(理論にばかり気を取られないように!)
・アドリブは、奇跡の産物ではない(全ては自分が経験してきたことで構成される)
・集中力を高める・ゾーンに入る感覚を持つこと
これらは、あくまでも、僕自身が思う重要な考え方です。
アドリブがなかなか上達しないな〜と悩んでいる人は、是非参考にしてみてくださいね!
では今回はこれで以上になります。ありがとうございました!
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