【「酒バラ」のEb7をどうやって弾く?】の後編となります。
アッパーストラクチャートライアドや、別のコードトーンを想定して弾く方法やアイデアを解説していきます。
A7と仮定して弾く
前編でも解説しましたが、裏コードの「Eb7」をオモテに戻して「A7」として弾く場合は、Aのオルタードを使います。
スケールとして弾いても良いですが、個人的にはオルタードフレーズを弾くのがおすすめです。
例えばこんな感じ。
ここでのポイントは、「Eb」の音を使っていないこと。
実は、Eb7だけど、Ebの音を弾くとアウトして聞こえてしまうんですね。僕自身の考えですが、インサイドに弾きたいなら、「Eb」の音は使わずにフレージングした方が綺麗にサウンドします。
「Eb」の音自体がアウトしているので、その音はベーシストに任せましょう。
なので、A7に戻してオルタードスケールを弾くと言っても、#11thであるEbの音はあまり使わないことが多いです。
とにかく、綺麗にサウンドさせたいならEbの音は省いた方が良いというのがポイントですね。
Bbのメロディックマイナーを弾く
なぜBbのメロディックマイナースケールなのか、それは、
A7のオルタード=Bbメロディックマイナー
だからです。
この場合は、先ほどのA7のフレーズっぽく弾くよりも、スケールとして弾く感じが強くなるので、フレーズを“弾いている感”が出にくいのがポイント。
注意点は、
- 使うべき音
- 使うとEb7を表現できる音
を通ること。
ここで必ず使いたいのは、「Db」の音です。
キーFの酒バラでは、Dbの音はノンダイアトニックな音なので、この「Db」の音がEb7の時の特徴音となるのです。
Eb7というコードを見て、すぐにBbメロディックマイナーが思い浮かばないという場合には、それを導き出す方法を覚えましょう。
メロディックマイナーに変換する考え方
結論から言うと、
そのセブンスコードとツーファイブを成す「ツー」の方のメロディックマイナーを弾く
です。
この場合、Eb7とツーファイブを構成するのが「Bb」だから(Bbm7-Eb7)、Bbのメロディックマイナーを弾くという感じです。
- Db7なら「Ab」
- Gb7なら「Db」
- Bb7なら「F」
となります。
コンテンポラリー寄りなサウンドで弾きたい場合はメロディックマイナーがおすすめです。オルタードフレーズよりもコンテンポラリー感が強くなります。
アッパーストラクチャートライアドで弾く
アッパーストラクチャートライアドというのは、そのコードの上に、別のトライアドを乗せるという考え方です。
例えば、Cmaj7というコードの上でEmを弾いたり、Amを弾いたりするような感じ。
ここでは、Ebのリディアンb7というスケールから派生するトライアドを使います。
まずは、Ebのリディアンb7のダイアトニックコードを書き出して、
その中から良いサウンドがするもの(しそうなもの)を選びます。
ここでは、丸で囲ってあるものが僕のオススメです。
また、トライアドではなく4和音のコードトーンでも同じ考え方で弾くことができます。
ここでもオススメは青丸で囲っているモノですが、その理由は2つ。
まずは、
- リディアンの特徴音である#11th(A音)が含まれていること
- キーFから見てノンダイアトニック音である7th(Db音)が含まれていること
この2つの条件を両方、または片方だけでも当てはまるものを使うのが良いでしょう。
2つの条件を満たしている「Bbmmaj7」と「Dbmaj7#5」は、裏コードである「Eb7」の特徴を捉えることが出来るベストな選択となります。
おすすめトライアドとコードトーンのポジション
では、オススメのトライアドと4和音のコードトーンのポジションをダイアグラムで紹介します。
トライアドの場合
・F/Eb(Ebの上でFのトライアドを弾く)
構成音:F(9th)、A( #11th)、C(13th)
・Bbm/Eb(Ebの上でBbmのトライアドを弾く)
構成音:Bb(5th)、Db(b7th)、F(9th)
・Dbaug/Eb(Ebの上でDbaugのトライアドを弾く)
構成音:Db(b7th)、F(9th)、A( #11th)
4和音のコードトーンの場合
まずは5弦のEbをルートとして見た場合のポジションから紹介します。
・Gm7b5/Eb
構成音:G(3rd)、Bb(5th)、Db(b7th)、F(9th)
・Bbmmaj7/Eb
構成音:Bb(5th)、Db(b7th)、F(9th)、A(#11th)
・Dbmaj7(#5)/Eb
構成音:Db(b7th)、F(9th)、A(#11th)、C(13th)
ちなみに、各コードトーンのポジションは以下の通りです。
・Gm7b5
・Bbmmaj7
・Dbmaj7#5
ということで、
これらのトライアドやコードトーンをEb7の時に弾くと綺麗に合います。
酒バラのEb7は1小節しかないので、コードトーンやトライアドをそのまま弾くだけでも十分フレーズとして成立します。
下手にフレーズを仕込むより自然にアドリブ感が出せるのでおすすめです。
まとめ
酒バラの2小節目の「Eb7」の弾き方について、
- 理論:代理コードとして解釈する
- 実践:おすすめフレーズやアイデア
の2回に分けて解説しました。
アドリブの時は、以下のアイデアがオススメ。
- A7と仮定して弾く(オルタード)
- Bbメロディックマイナーを意識して弾く
- アッパーストラクチャートライアドやコードトーンで弾く
因みに、2小節目以外にも、8小節目にもEb7が出てきますが、ここも全く同じ理論で考えてOKです(その前のBbm7は、RelatedⅡm7として考えて、ドリアンで弾く)。
今回は「酒バラ」を題材にして解説しましたが、キーFの曲に出てくる「Eb7」は基本的に同じ考え方でOK。他の曲にもぜひ応用してみてください!
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