今回は、『アドリブを進化させるには、まず指を進化させよ』というテーマとなります。
たくさんの生徒さんと関わってきた中で、多くの人の問題点が技術不足にある、技術さえ進歩すればアドリブは一気に向上する、といったことを多く経験してきました。
また、特にジャズを学んでいる人は、どちらかと言うと理論的な部分に重きを置いている傾向があるようにも感じます。
今回は、
- 技術を磨くと良い理由
- 具体的な練習方法
などについて解説していきます。
どんな人向け?
今回のテーマは、以下のような人におすすめです。
- アドリブの上達が頭打ちになってい
- アドリブのイメージはあるけど具現化できない
- テンポの速い曲のアドリブが苦手
当てはまる人は、その問題が技術面にある可能性が高いです。
指を動かすというシンプルな技術を向上させることで、その問題をクリアできていくかもしれません。
アドリブが上達しない原因は、単純に指が動かないことにある
アドリブが上達しない理由はたくさんありますが、
そもそも技術不足である
ということがよくあります。
自分が弾きたい内容と、自分が持っている技術がつり合っていないということですね。
具体的に言うと、
自分の技術の限界値が100だとしたら、
実際のアドリブで出せるフレーズは、限界値の70%くらいのもの。
テンポ120の16分をギリギリ弾けるくらいの技術なのに、テンポ120の16分でアドリブしようとしても到底無理な話であるということです。
僕の感覚では、
テンポ150の16分くらいで決まったフレーズを弾いたり、基礎的な練習ができるなら、テンポ130の16分くらいでのアドリブが可能であるという感じです。
要は、アドリブをしたい速さの約1.2倍くらいの速さで指が動かないとダメだということです。
プロはミスらないなーと思ったことありませんか?
それはある意味当然なんです。プロになると、
自分の持っている技術が、今弾いているモノの数段上だからです。
漢検一級を持っていて、中学校の漢字50問テストやるようなものですね。間違うわけが無いです(笑)。
一方で、速く弾く技術がないのに、頑張って速い曲を弾こうとしている人は、小学校で習う知識しか持っていないのに、大学受験をするようなものです。ほぼ100%受からないですよね。
とにかく、
ということは断言できます。
自分が思い描くイメージを音にするには、それを具現化する技術が必要です。上手い人は必ずそれ相応の技術を持っています。
耳が痛いかもしれないですが、自分の指ときちんと向き合っていきましょう。
どれくらいのテンポで弾ければいいの?
では具体的に、どれくらいの速さで弾くことを目標にすれば良いのでしょうか?
あくまでも参考値ですが、
- 初心者の人は「テンポ120で16分」
- ある程度アドリブができる人は「140で16分」
- 所謂FastTempoでアドリブしたい人は「テンポ150〜160以上で16分」
といった感じです。
これが正しいわけではなく、理想的なテンポだと思ってください。もちろん、速く弾けるに越したことはありません。技術は磨けば磨くだけアドリブの質も比例してレベルが上がっていきます。これは間違いありません。
初心者の人は、まず基礎練のフレーズを♩=120の16分音符で弾けるように頑張ってみましょう。
技術のないジャズギタリストはいない
昨今のコンテンポラリージャズギタリストはもちろん、過去の偉人達を聴いても、技術のないジャズギタリストはほぼいないと言って良いでしょう。
特に最近のコンテンポラリージャズギター界では、指が動かない人、技術が低い人はまずいません。
ギターを弾く技術が高い人達(おすすめ)
- Julian Lage
- Gilad Hekselman
- Jonathan Kreisberg
- Nelson Veras
- Lage Lund
- Mike Moreno
- Pat Metheny
偉人たちも技術は凄まじい
- Joe Pass
- Herb Ellis
- Pat Martino
- George Benson
- Tal Farlow
挙げればキリがないですが、アドリブを弾く技術というのは、自分の指を思い通りに動かす技術です。決まったものを弾く技術とは異なります。
その場でイメージしたものを表現する技術は、決まったものを弾くことよりも数倍難しいと思います。曲によってテンポも変わるし、キーも変わる。あらゆる場面を切り抜けるための知識と技術が必要です。
ジャズというと、どうしても理論の方に意識が傾きがちですが、やはり楽器を操る技術がなければ全て無駄です。技術を向上させることをもっと重要視していきましょう。
技術を磨き始めるのに、早いも遅いもない
今の自分の技術に満足している人はいませんか?
特にジャズギターを練習している人には、シンプルに技術を高めるための練習を行ってもらいたいと思っています。
絶対にやった方が良いです。
遅いも早いもありません。今日からでも始めていきましょう。
技術は、やれば確実に進歩、やらないなら確実に退化します。
1度身に付いた思考や理論を失うことはなかなか無いですが、技術は簡単に衰えます。
技術を向上させる練習は、日々継続することが大切です。これ以上技術を鍛える必要はない!という人も、やっておかないと現状維持は不可能です。
自分の限界テンポを少し超えるくらいの練習は常にやっておくのが大切です。
ちなみに、
僕が決めている最低維持ラインは、
テンポ150で16分、つまりジャズ的に言うとテンポ300でスタンダードを弾くことです。
この場合、ざっくりテンポ170〜180くらいで弾く技術が必要になります。基礎練とか手グセとかを180くらいで弾ければ、余裕を持って演奏可能なので、速いテンポでスラスラアドリブできるようになりたい人は、この辺りのテンポを目標にしましょう。
技術を向上させる練習方法
まずスケールやシークエンスを決めましょう。
大事なことは、
ということです。
何をすれば良いか分からない人は、よくある単純な基礎練パターンでOKです。
おすすめの基礎練パターン
人差し指〜小指を全て使います。フレットはどこでもOK。毎回変えて行うのがおすすめです。
弦移動は最低限でOKです。例えば、3弦と4弦を行ったり来たりするような感じです。全部の弦を練習したい人は6弦〜1弦で行ってください。
以下の7つの運指を練習してみてください。
- 1234
- 1243
- 1324
- 2134
- 2314
- 3124
- 4321
※ 1=人差し指、2=中指、3=薬指、4=小指
1つのパターンに絞ってテンポを上げていっても良いですし、1つのテンポで全7パターンを順に弾いていっても良いです。
例えば、
4弦5〜8フレットと、3弦5フレット〜8フレットを行ったり来たりする感じです。
とにかく速く弾けるようになることを目標に頑張ってみてください。目標は、テンポ150で16分と言いたいところですね。ミスせず弾ける速さから、少しずつテンポを上げていきましょう。
アドリブも速いテンポで練習しよう
基礎練を速く出来るようになるだけでもアドリブの質は大きく進歩しますが、アドリブを速く弾く練習も併せて行うのがおすすめです。
速いテンポでのアドリブは、
ある一定のテンポ以上は、基礎練だけではクリアできないと思います。
大きな理由としては、
指の動きだけでなく、コード進行もそのテンポで追いかける必要があるから
です。
指だけではなく、頭の回転も鍛える必要があるということです。ただしこの部分については、
技術というよりもその曲を覚えることが大切です。
どんなテンポになってもロストしないくらい完璧なメモリーが必要ということです。
テンポに限らずメモリー度が高ければ高いほどアドリブの質は向上するので、楽譜を見ずにアドリブできる曲を増やしていきましょう。
まとめ
今より指が動くようになれば、確実にアドリブは進歩します。これは真実です。
理論的なことを新しく取り入れることよりも、
単に技術を高める方が大きな効果を得ることができるかもしれません。
- 基礎練をあまりやっていない人
- 基礎練だるいなーっていう人
騙されたと思って一度やってみてください。
アドリブの時、驚くほど快適に指が動くのを実感できると思います。
ジャズは、どうしてもアドリブの内容や理論に意識が傾きがちです。
でも、その理論を具現化するのは「指」。
指が動いてくれないと、せっかく学んだ理論も台無しです。しっかりと指を鍛えましょう。
ということで、
「アドリブを進化させるには、まず指を進化させよ」
というお話でした。
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