今回は、個人的に絶対必要だと考えているスケール「HP5」について解説していきたいと思います。
僕自身、とてもよく使うスケールですし、オルタードやコンディミなどよりも、セブンススケールの最もコアな部分となるスケールだと思っています。
HP5について、少しでも理解を深めていただくきっかけになれば幸いです。
◆今回の目次◆
- HP5とはどんなスケール?
- どんな場面で使うスケール?
- ハーモニックマイナーではなくセブンススケールとして把握する
- なぜHP5を覚えるべきなのか?
では順に解説していきます。
HP5とはどんなスケール?
HP5の正式名称は、「ハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウ」といいます。
直訳すると、「完全5度下のハーモニックマイナー」となります。これだけだとあんまり意味がわからないですよね(笑)。
どういうことかというと、
例えば、「G」のHP5を弾くとします。
その場合、「Gの完全5度下のハーモニックマイナー」を弾くということになります。
G音から完全5度下のハーモニックマイナーを弾くということですね。
完全5度下のハーモニックマイナーというと、「C」のハーモニックマイナーになります。
GのHP5=Cのハーモニックマイナー
ということになるんですね。大丈夫でしょうか?
言い換えると、
「Cのハーモニックマイナーを、G音から並べ替えたもの」
となります。
少し例を出すので慣れていきましょう。
- CのHP5 = FのハーモニックマイナーをC音から並べ替えたもの
- DのHP5 = GのハーモニックマイナーをD音から並べ替えたもの
- EbのHP5= AbのハーモニックマイナーをEb音から並べ替えたもの
- AのHP5= DのハーモニックマイナーをA音から並べ替えたもの
いかがでしょうか?「完全5度下」をすぐに把握できるように頑張りましょう。
どんな場面で使うスケール?
HP5は、基本的にセブンスコード上で使うスケールです。
主に、
- マイナーキーのⅡ-Ⅴの「Ⅴ7」
- マイナーコードに解決する「セカンダリードミナント」
上記のコードに完璧にマッチします。
HP5自体は、ハーモニックマイナーの並べ替えなので、暗い響きを持っているのが特徴です。そのため、そのため、マイナーコードへ解決するセブンスコードに最も合うということになります。
ではもう少し理解を深めましょう。
HP5をきちんと理解するには、ハーモニックマイナーのダイアトニックコードを知る必要があります。
ハーモニックマイナーのダイアトニックコードは以下のようになります。
ハーモニックマイナーのダイアトニックコードの5番目はセブンスコードです。
ということは、HP5は、
ハーモニックマイナーの5度から始まるダイアトニックスケールである
ということになります。
メジャースケールのダイアトニックスケールのように、ミクソリディアンみたいな名前は付いていませんが、HP5も、実は、ハーモニックマイナースケールから派生するダイアトニックスケールなのです。
そりゃマイナーに解決するセブンスコードにビッタシ合うわけですね。ダイアトニックなんですから。
HP5がセブンスコード上で使うスケールだというのは、ハーモニックマイナーの5度のダイアトニックスケールだから、という理論から来ています。
ここを理解しておくと、考え方もスッキリすると思います。
Gのミクソリディアンが、Cメジャースケールを5番目から並べ替えたものであるように、
GのHP5は、Cのハーモニックマイナーを5番目から並べ替えたものとして考えるようにしましょう。
ハーモニックマイナーではなくセブンススケールとして把握する
いくらハーモニックマイナーのダイアトニックスケールだからとは言え、ハーモニックマイナーに毎回変換するのは面倒ですよね。
なので、ここではセブンススケールの基準であるミクソリディアンと比較して覚えることをおすすめしたいと思います。
この方が、よりセブンスコードとリンクさせやすいので是非やってみて下さい。
ではCのミクソリディアンとCのHP5を比べてみましょう。
・Cミクソリディアン
・CのHP5
違いは、b9とb13に変化していること。
実は、HP5は、別名「ミクソリディアンb9,b13」と呼ばれることもあります。
これだと、一気にセブンコードのためのスケールとして理解しやすくなりましたね。
覚え方は、ミクソリディアンの「9th」と「13th」をフラットさせたスケールという感じでOK。
サウンドとしては、b9thと、メジャー3rdのインターバルがポイント。
この2音のインターバルは短3度になっています。この音程が、b9thを際立たせることにもなるし、メジャー3rdを際立たせることにもなります。
オルタードになると#9thが間に入るので、どちらの音もHP5ほど強調されなくなります。
b9thとメジャー3rdが持つ「短3度音程」が非常に特徴的なサウンドを生み出している、これがHP5のサウンドの大きな特徴です。
どちらの音も、セブンスコードからマイナーコードへ着地する場合にはとても大事な音なので、これらを強調してくれるのはとても使い勝手が良いのです。
クラシカルな雰囲気も出せるので個人的には大好きですね。
なぜHP5を覚えるべきなのか?
なぜHP5を覚えるべきなのか?個人的に思う回答は、
オルタードテンションを含むスケールの中で、最もインサイドに弾けるセブンスのスケールだから
です。
テンションを無理から組み込んだオルタードスケールとか、
アウト感の強いシンメトリックスケールとか(コンディミなど)よりも、
確実にインサイドで弾けるスケール。それがHP5です。
なぜなら、ハーモニックマイナーの純粋な5度セブンのダイアトニックスケールだからです。
特に、マイナーコードへ向かうセブンスコードに使うスケールの1stチョイスとして、必ず覚えておくべきスケールだと、僕自身は思っています。
しかも、そこから発展させることは割と簡単です。
- #9を入れたらよりオルタードっぽくなる
- 4thを半音上げて#11を入れたらさらにアウト感が増すし(5thを省くと完全にオルタード)
- b13をナチュラル13thに変えるとミクソリディアンb9にもなる(ハーモニックメジャー)
といった感じですね。
結論としては、
オルタードやらコンディミやらよりも、絶対にHP5を先にマスターしておくべき
ということになります。
まとめ
ではまとめです。
今回は、HP5について詳しく解説しました。
- HP5とはどんなスケール?
- どんな場面で使うスケール?
- ハーモニックマイナーではなくセブンススケールとして把握する
- なぜHP5を覚えるべきなのか?
HP5は、セブンスコード上でとてもインサイドかつスムーズにサウンドがするスケールです。
個人的には、オルタードやコンディミなんかよりも必須であり、先にマスターすべきスケールだと考えています。
頑張って練習しましょう!
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