【ジャズ理論】ドミナントモーションを理解しよう『前編』不安定な響きの本当の意味とは?
今回は、ジャズに必須の理論である「ドミナントモーション」について解説しています。
ジャズのみならず、全ての音楽に共通して重要な理論である「ドミナントモーション」ですが、ジャズにおいてどのような役割があるのか、そもそもドミナントモーションの意味や、そのサウンドについて分かりやすく解説しました。
・このページの概要
ドミナントモーションについて理解する
セブンスコードからの解決というのは、ジャズのみならず、音楽全体における理論において必要不可欠なものです。必ずマスターしましょう。
ドミナントモーションとは「お辞儀サウンド」である
皆さん、お辞儀の時の音を想像できますか?
ギターを持って、C→G→Cと弾いてみてください。これがお辞儀の時の音ですね。
実は、このお辞儀の時のG→Cというのが、一番分かりやすいドミナントモーションのサウンドです。
理論的に言うと、
セブンスコードが完全4度上に進行すること
となります。
日本語では、「解決」、英語では「Resolution」と言います。
ちなみに、完全5度下へ、という解釈でも特に問題ないです。
例えば、以下のような場合をドミナントモーションと言います。
- G7→Cmaj7
- A7→Dm7
- Bb7→Ebmaj7
- F7→Bbm7
大切なポイントが1つあります。それは、
セブンスコードから、完全4度上のコードに移動すること
です。
移動した後のコードは、何でも良い(maj7でもm7でも何でも)です。大事なのは、セブンスコードから、ルートが完全4度上へ移動していることです。
ドミナントセブンスコードは全てⅤ7
ドミナントとは、
セブンスコードの、3rdと7thの関係のことを指します。
G7なら、B音とF音ですね。
そして、この3rdと7thの音程(増4度/減5度)のことを、「トライトーン」といいます。
・トライトーンが含まれるコードのことを、「ドミナント(セブンス)コード」
・トライトーンが含まれるスケールのことを「ドミナントスケール」
と言います。
ドミナントコードとは、V7のことを指す
maj7やm7はドミナントには成り得ないということをまず覚えてください。
Cm7→F7というのは、完全4度上に進行していますが、ドミナントモーションではありません。
例えば、
・C7→F7、これはドミナントモーション
・C7→Fm7、これもドミナントモーション
このことから分かるように、
ドミナントコードは、全て、何かのダイアトニックコードの「V7→Imaj7(m7)」になっています。
セブンスコードっていうのは、全てⅤ7と解釈すべきということです。アナライズの要素が入ってくるので詳しい説明は割愛しますが、
セブンスコードは、常に何かのキーのⅤ7である
ということを覚えておいてください。
曲を弾いていて、何ちゃらセブンスというコードが出てきたら、「あっ、ドミナントモーションが起こるかも?!」と思うようにしてください。
セブンスコードが来たら、反射的に「解決」すること。解決先のコードを意識できるようになりましょう。
不安定な響きの本当の意味とは?
不安定な響きを生み出しているのは「トライトーン」です。
で、不安定な響きって一体何?という話です。この「不安定な響き」の意味、きちんと理解できていますか?
教本などでは、ドミナントコードを「不安定な響き」と表現しています。
僕自身は、自分の理解不足もあり、学生当時は何を意味しているのか全く分かりませんでした。
G7自体のサウンドを、「不協和音でもないし綺麗な響きやん!」と思ったからです。
大切なのは、
不安定な響き=不協和音ではない
ということ。
不安定な響きとは、
「そのコードでは落ち着かない」という意味
なのです。
言い方を変えると、そのコードでは終われない。
「まだ次に続く感じがするんですけどー!」という感じの響き、ということ。
セブンスコードには、
次のコードに進行したくなる性質があります。
これを「不安定な響き」と呼ぶのです。
そして、
“この不安定さを生み出しているのが、「トライトーン」である”
ということになります。
「不安定な響き」の意味をきちんと理解しておきましょう。
後半は次のページへ!
→【必須理論】ドミナントモーションをきちんと理解しよう『後編』ドミナントコードはどこへ行くの?
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